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インプラントが主力の企業が本格参入

厚生労働省は医師なり医療従事者に対し、診療報酬を変えるという方法でめざす方向に誘導しているのである。
一方、調剤薬局の方では、純粋にいままで院内で処方していた分の収入額では経営が成立たないので、ちょっと高めに点数が付いている。 したがってたぶん皆さんは、調剤薬局へいって払う額の方が高く感じられると思う。
ここで、忘れられていたのが患者の視点である。 いままでは自己負担分は、病院と調剤薬局とを足したとしても、患者の自己負担割合が低かったので微々たるものであったかもしれない。
しかし、自己負担が3割となると、支払い額は結局かさむ。 さらに、あたりまえの話ではあるが、医薬分業では薬剤をもらうために、医療機関を出た後、薬剤をもらいにさらに調剤薬局に足を運ばなければならないというやっかいさもある。
ただ、医薬分業にもいい面がある。 アメリカでは医薬分業がほとんど100%だが、患者には喜ばれている。

調剤薬局がすごく便利で、また薬局が説明をしっかりしてくれるからだ。 病院の中の薬局は、ぶっきらぼうだったり、ちゃんと説明してくれないことも少なくない。
これは笑い話だが、病院薬局に勤めていた人が調剤薬局に勤務すると、態度が変わって、にこやかに説明を丁寧にするようになる、という。 それは、調剤薬局というのは選ばれる立場にあるからだ。
病院の中の薬局というのは一ヵ所しかない。 しかし、調剤薬局は病院の門前に、なかには一軒だけのところもあるが、普通は3軒、4軒と並んでいる。
そうすると、どこがいいかという情報が飛び交ったりして、競争になる。 そのため、調剤薬局の対応がにこやかになったりサービスがよくなったりするわけだ。
だから、多少コストが高くなってもメリットはある。 もうひとつのメリットは、患者にさまざまな便宜が図られることだ。
たとえばアメリカでは、薬剤の処方歴が全部調剤薬局のパソコンに入っていて、患者からの電話一本で薬剤を用意できる。 また、ドライブスルーの調剤薬局もあり、患者は車でいって薬剤をもらえる。
車社会のアメリカでは非常に便利な仕組みであるといえよう。 極端な話、車から携帯電話でかかりつけの調剤薬局に、「いまから薬剤をとりにいくから用意しておいてほしい」と電話しておいて、5分か10分後にドライブスルーに入っていくと薬剤の準備ができており、お金を払って薬剤を受けとって帰ってくることができる。
アメリカでは薬剤の郵送ということも可能である。 Wなど巨大スーパーマーケットの中に調剤薬局がある場合もある。
日本でのドラッグストアの大型版と思ってもらえばいい。 そうすると処方を待っているあいだに今夜の買い物もできる。

調剤薬局が今後もさらに伸びるためには、やはり患者にとって便利なことが必須だ。 説明が詳しいということプラス便利であることが、医薬分業が70%とか80%になる必要条件であろう。
病院としては、調剤薬局に出すことでいくらか診療報酬の点数が付くとしても、薬価差がないとすると経営的にはどうかという疑問がある。 一方、日本の医療保険は医師の技術料が低い。
逆にアメリカは医師の技術料が高い。 そこで、これは日本医師会の言い分に近いが、その低い分を薬価差で補っていたところがある。
だから薬価差が少なくなるのは正論だが、そのかわりに、正当な技術料を認めろという議論がある。 ただ、残念なことに技術料はそれほど高くなっていない。
その意味でも、薬価差がなくなったということは病院の経営に関してはあまりプラスにはなっていないといえる。 次に、薬に費やされる開発費用の側面を考えてみよう。
ひとつの薬剤を世界的に販売しようとすると、その開発のために300億とか400億円の費用がかかるといわれている。 ただ、これは1年にかかる愛用ではなくて、15年ぐらいの間にかかる額なので、たとえば300億を15年で割ると、1年に20億ぐらいを計上することになる。
もともとの基礎研究は、国内でやっても外国でやっても、相対的には費用が少ない。 そのあとに動物実験を行う。

そこで、安全性などが確認された後で、初めてヒトに薬剤を投与してみるのだが、これは健康な人に少数投与する試験なのでこれもたいした額にはならない。 その次に患者に投与し始めるフェーズ2という段階に入る。
フェーズ2の段階だと、あまり患者の数を多くする必要はない。 ここを突破して次に、フェーズ3ということになるが、現在では世界中で薬剤を販売するようになっていて、人種差も考慮しなければならないので、極端なことをいえば、全世界で臨床試験が必要ということになる。
もちろんある程度までは、データが互換性を持つように計画されてはいる。 しかし、一般にはアメリカでも試験をやって、日本でもやって、中国でもやって、ヨーロッパでもやってということになるので、ここが一番費用がかかる。
また、販売できるまでに成功する率は何千分の一といわれている。 つまり多くの薬剤のタから本当に最後に販売できるまでには、死屍累々という状況になる。
何年も研究開発費をかけても、途中で諦めざるを得えないものもあるから、そのような薬剤にも莫大な費用がかかっているわけだ。 だから金融工学の世界では、製薬会社と一番似ているのは石油掘りといわれている。
たくさん穴を開けて、どこで石油が吹き出すかという世界である。 石油が吹き出せば大儲けという「あたる、あたらない」の八卦の世界といえよう。

あたらなかった薬剤の研究開発費、人件費なども全部成功した薬剤にかぶさってくる。 そういえば、あたった本に皆でぶら下がる出版界も同じかもしれない。
少し話は逸れるが、どうやって薬剤のネタを発掘するかという能力が、だんだん製薬会社の手から離れつつある。 これは日本の話だが、いままでは有機合成とか発酵などの化学技術を使って薬剤のネタの研究を行っていた。
そのため、日本の製薬会社は薬学部出身の人を研究職として多く採用するわけだが、現在の研究には遺伝子の技術も必要だしいままでの薬学教育だけでは、対応は難しい。 そのため、バイオベンチャーがネタを発掘することが多くなる。
パラダイムの変化が起こっているのである。 薬剤代は投資か費用か「まえがき」でも話したが、医療の場合、必要なお金に対する考え方が2通りある。
すなわち、薬剤も含めて医療を投資とみるか、費用とみるかという視点である。 われわれ国民が健康という意味でより豊かになるための投資とみるか、できれば使わずに済ませたい費用とみるか、という相反した考え方といいかえてもいい。
基本的に、いまの政府の考え方は費用と思っているといえよう。 ところが、アメリカではこれを投資と考えている。
つまり新しい薬剤を開発するためにいまこれだけ投資していると考えているのだ。 いいかえれば、日本の薬剤代6兆円というのは製薬メーカーの売り上げになって、一部人件費にもなるけれど平均して10何%かは研究開発費に回っているわけだ。
それは明日のいい薬剤をつくるための投資になる。 アメリカ人は柔軟なので、製薬会社で遺伝子技術を扱える人を多く雇ったり、薬学のなかにもバイオ教育を取り入れたりしているが、日本人は変わり身が遅い。
それも日本の製薬会社がいい薬剤をつくり出せないひとつの理由になっていることは否めない。

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